蔵書家たちの黄昏

反町茂雄の主題による変奏曲

[78] アメリカの蔵書家たちⅢ 独立前後

 

 

  ≪ Ⅲ 独立前後 ≫

 

 独立宣言を起草した五人のうち、ロジャー・シャーマンを除く後の四人(フランクリン、アダムス、ジェファーソン、リビングストン)は、このブログでも取り上げているこの当時有数の蔵書家でした。
 彼らに限らず植民地の政治指導者は多くが読書家で、特にかなりの個人ライブラリーを所有していたとされるのが以下の12人です。

 

 

マサチューセッツ ジョン・ハンコック
         ジョン・アダムス

ニューヨーク   ロバート・リビングストン f

ペンシルヴェニア ベンジャミン・フランクリン

メリーランド   ウィリアム・ピンクニー f
         ダニエル・キャロル f

ヴァージニア   ジョージ・ワシントン   
         トーマス・ジェファーソン
         ジェームス・マディソン

ノースカロライナ ウィリアム・フーバー

サウスカロライナ ジョン・ラトレッジ
         チャールズ・ピンクニー f

 

 

 

 4人の大統領経験者は次項で語るので、ここでは残る8人について。

 

 ジョン・ハンコック(John Hancock 1736-1793)は独立戦争当時の連合会議議長。ハーバード大学図書館に1000冊を寄付しました。そのリストには実に多彩な書名が並んでいます。

 ロバート・リビングストン(Robert Livingston 1718-1775)はその息子エドワードの蔵書4000冊が、エドワードの娘婿のシェイクスピアコレクターとして名高いトーマス・P・バートンへと受け継がれました。

 ウィリアム・ピンクニー(William Pinkney 1764–1822)と

 チャールズ・ピンクニー(Charles Pinckney 1757–1824)のピンクニー家は名門で、家としての蔵書はよく知られていました。

 ダニエル・キャロル(Daniel Carroll 1730–1796)キャロル家も名門で、3000点の文書が今議会図書館にあります。

 ウィリアム・フーバー(William Hooper 1742–1790)はノースカロライナを代表して独立宣言に署名した人。その大きなライブラリーはイギリス軍に破壊されました。

 ジョン・ラトリッジ(John Rutledge 1739–1800)はジェイの次の最高裁長官です。

 

 

 しかしこの時期を代表する存在としてはやはりベンジャミン・フランクリンでしょう。彼とあと一名だけカテゴリを作りました。

 

 

☆☆
 ベンジャミン・フランクリン Benjamin Franklin 1706-1790
 フランクリンはご存じのように建国期アメリカ最大の知性といっていい存在。
 彼は植民地時代のローガンと建国当初のジェファーソンの合間の時期を代表する蔵書家という事が言える。フランクリンの伝記などでは通常あまり強調されることはないが、興味深い点は若い頃に蔵書家のローガンと交わってその薫陶を受けていたことである。
 フランクリンも所蔵数は4726タイトルというから冊数にするとそれ以上となり、次世代のジェファーソンにも匹敵する数である。フランクリンの書斎を訪問したマナサ・カットラーは「当時のアメリカでは最良の文庫」と評価している。個人的に意外に思うのは、蔵書の内容が文学面に弱く、科学面に強かったという点だろうか。

 

 

◆ ジョン・マーサー John Mercer 1704–1768
 植民地時代の弁護士。作家。ダブリン生まれで1720年にバージニア州に移民している。ジョージ・ワシントンの弁護士も務めた。マーサーの息子たちは、大陸会議で代表になったり独立戦争で活躍したが、本人はアメリカの独立を見ずにそれ以前に亡くなっている。
 彼の個人蔵書は1500冊から1800冊の間と推定され、死後も子孫たちに利用された。

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テーマの著者 Anders Norén

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