蔵書家たちの黄昏

反町茂雄の主題による変奏曲

ジャンル別蔵書家13 [映画関係の文献 Film book]

[映画関係の文献 Film book]

 

 申し訳ありませんが、今回は日本人コレクターのみです。欧米コレクターは後で増補します。
 この分野もプロの映画評論家中心になってしまいがちなので、最初にまず市井の映画ファンから著名な蒐集家を一人挙げてみました。九州の松永武氏です。

 

  松永武 Matsunaga Takeshi 1935-2018   松永文庫 
 松永氏は福岡で海運関係の仕事に携わりながら大量の映画資料を収集をした。1997年に自宅を開放して「松永文庫」として無料公開。2009年には資料すべてを北九州市へ寄贈して同文庫は市の施設となり、氏自身もそこで室長として勤務した。
 のべ2万点にわたる資料のうち、本としてカウントできるものは書籍1318冊、雑誌2183冊の計3500冊である(ただこのうちには映画以外に演劇や古典芸能に関する本も含まれる)。ポスター・パンフレットなどの懐かしい映画資料は、年に四度、同文庫で展示・公開している。
 松永氏の蔵書全体では、父から受け継いだ民俗学関連の資料もあるのでそれと合わせると計7000冊に及んだといわれる(こちらは北九州市立文学館へ寄贈された)。

 

 

 以上の情報は、当方の問い合わせメールに対する松永文庫室長代理の方からの丁寧なお答えを参考にさせていただいています。
 以下に著名な映画評論家からも二人挙げておきますが、この商売をしている人であれば大なり小なり映画関係の蔵書は多い筈です。戦前の映画評壇を仕切っていた津村秀夫をはじめ、世間一般に知られた名前を並べてみるだけでも、岩崎昶、双葉十三郎、淀川長治、登川直樹、佐藤忠男、蓮實重彦 山田宏一、四方田犬彦、宇田川幸洋といくらでも出てくるので、ゆっくり調べなおしてこのページは後でまた増補することにします。

 

 

□ 飯島正 Iijima Tadashi 1902-1996
 戦前から戦後にかけてわが国を代表する映画研究者だった飯島正氏。
 洋書3315冊と和書1000冊を早稲田大学の文庫に寄付にしているが、飯島氏はハンガリー文学にも造詣が深く、その関係のものも多く含まれており、映画関係のみの文献の割合はこれよりかなり少なくなる。しかし他にプログラムやスチール写真が2000点以上ある。
 飯島氏の収集は映画創成期からなので、今ヨーロッパの古本屋を探しまわっても手に入らないような資料が多いといわれている。

 

  荻昌弘 Ogi Masahiro 1925-1988
 昔TBSの月曜ロードショーの解説者としておなじみだった荻昌弘氏。1970年代に当時の日本の著名な蔵書家に取材した叢書が出版されていて、それによると荻昌弘氏は、本は軽井沢の別荘のほか、都内四か所に置いているという話だった。現在これらは京都文化博物館と国立映画アーカイブに分かれている。
 京都文化博物館の映画担当の方によると、同館所蔵の荻昌弘旧蔵書は4000点弱で、内容は主に戦後の1950~80年代の映画関係書籍と雑誌で、市販されたものが大半だとのことだった。そうすると戦前のものや特殊な資料は国立映画アーカイブ(旧国立近代美術館フィルムセンター)にあることになる。

 

 

 なおパンフレットとポスターに関しては、やはり現在国立映画アーカイブにある「みそのコレクション」が戦前からの古い収集であり、わが国を代表する存在といえるでしょう。そのほか単独コレクションとしては衣笠貞之助関係のものを紹介しておきます。

 

[映画パンフレット]

  御園京平 Misono Kyohei 1919-2000 
 芸能興業の仕事に携わり、豊富な資料を駆使した映画史関係の著書が多い。ポスターやパンフレットなどを中心とする6万点の「みそのコレクション」は映画史関係者の間でよく知られている。 総数59210点のうち書籍は1000冊に満たない。
 戦前から蒐集した、ポスター、パフレット、チラシ、映画広告、スチール写真はもちろん、引札、双六に及ぶ蒐集でいずれも現在では他に代えがたい貴重なもの。この種のものは当時は軽く見られがちだが時が経つと書籍よりも収集しにくい。現在、国立映画アーカイブがご本人からの寄贈を受け所蔵している

 

[映画ポスター]

  御園京平 Misono Kyohei 1919-2000 
 やはり御園京平の寄贈による国立映画アーカイブの「みそのコレクション」が国内を代表する蒐集で、そのうちポスターは約3000点に及ぶ。

 

[衣笠貞之助関係]

  反町茂雄 Sorimachi Shigeo 1901-1990
 衣笠貞之助に関する資料では、詳しい経緯はよく分からないのだが反町茂雄が非常に大きな収集を作っていた。同監督に関する資料116217点が日本放送協会放送文化研究所を経て近代美術館フィルムセンター(現国立映画アーカイヴ)へ寄贈されている。これは誰かのコレクションを引き受けたものか、それとも自らの趣味で収集したか?

 

 

 

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