蔵書家たちの黄昏

反町茂雄の主題による変奏曲

[108] 現代日本の蔵書家6 六万クラスのひとたち

★漂流教室関谷「今日は6万クラスの蔵書家を紹介します」

☆純クレ梅本 「前に蔵書家は一万を越えるレベルになると、グッと人数が減るって言ったでしょう?」

★漂流教室関谷「はい」

☆純クレ梅本 「もう一つの壁が、この6万クラスなんです。ここからさらに数が減ってきます。」

★漂流教室関谷「今まで、一万クラスで紹介したのが63人、二万クラスで紹介したのが48人、三万クラスでは28人、四万クラスでは15人、五万クラスでは8人だったよね。」

☆純クレ梅本 「今日は4人です」

★漂流教室関谷「4人?」

☆純クレ梅本 「そんな寂しそうな顔しないでください」

★漂流教室関谷「4人なら、もう俺が交代して紹介しちゃおうかな」

☆純クレ梅本 「わかりました。ではペーパーを渡します。どうぞ」


★関谷「1人目は教育学者の板倉聖宣さん (Itakura Kiyonob 1930-2018)です。理系なんだねこの人。理系の人に蔵書家は少ないんだけどさ」

☆梅本「単に理系っていうより、もっと幅の広い人です。歴史関係に乗り出してきてそっちでも本書いてます。科学の啓蒙書は昔から評判いいですよ。堂々の6万冊です。でも今年亡くなりました」

 

★関谷「2人目はミステリ評論家の新保博久(Shinpo Hirohisa 1953-)さんです。なんでも6万の本を東京から神戸に移動したんだってさ」

☆梅本「ミステリ翻訳者とかミステリ編集者とかミステリ評論家とかは蔵書数がかなりかさばる傾向があります。この世界レアなアイテムも多いですが、百均ゲットできるもの過半ですから」

★関谷「逆に処分する時も安めになるという事か。誰かが言ってたけど、百均に笑うものは百均に泣くという事だな」

☆梅本「ここからさらに上のクラスで登場する日下三蔵、森英俊、細谷正充のお三方も貴重なものもたくさんお持ちなんだろうけど、割とそういう傾向はありますね。
    出版点数も多いんですよ。毎年どんどん出てます。昔中島河太郎さんがミステリ資料館に寄贈したのは3万冊ぐらいだったんだけど、今のミステリーコレクターはもっとスケールがあります」

 

★関谷「3人目は小説家の司馬遼太郎さん (Shiba Ryotaro 1923-1996)です。この人の本の買い方はもう伝説になってるね、彼が新作に取り組むたびに、神戸中の古本屋からそのテーマの本が一斉に消える」

☆梅本「司馬遼太郎記念館にはドドーっとすごい量の本が展示されてます」

★関谷「あそこにあるのは2万冊だけ。全体では6万。しかし本当の全貌は伺えない・・・ なぜなら司馬さんは本を書き終えると、またそれを売り払うタイプだったから。最も沢山の本を買ったのは司馬さんだったのでは?という見方もある」

☆梅本「ところであの記念館の本棚は安藤忠雄の設計だけど、本がやけるって、あの展示方法じゃ・・・ あいかわらず自分の美意識ばかり追求して顧客のこと考えてないですね安藤忠雄は。コシノジュンコさんの家も安藤忠雄の設計らしいんだけど先生『寒うてかなわん』だって。安藤さんは『あの人は暖房費をケチるんです』とか言って、醜い論争になってます」

 

★関谷「4人目は評論家の草森紳一さん (Kusamori Shinichi 1938-2008)です。マンションの一室の積み上げられた本の谷間で死体になって発見された人。」

☆梅本「今回紹介した六万クラスの三人は、みなさんホント海千山千ですね・・・・・」

★関谷「もともとは中国文学専攻だそうだけど、著書のテーマは漫画から建築・写真・江戸・ヒトラーと、もうなんでもこいだね。北海道に九メートルの塔のような書庫を建てて、そこに当面使う必要のない3万冊を置く。一方東京の2DKのマンションは4万冊の本で埋まっていた。死んだ時もどこにいるのか分からず、本の谷間で発見されたらしい」

☆梅本「実は草森さんは次の七万クラスで紹介する予定だったんです。遺作の『中国文化大革命の大宣伝』のあとがきに7万って書いてありましたから。でも東京の自宅の本は、ご本人は4万だと思い込んでたけど、死んだあと数えてみたら3万2千しかなかったんだって」

★関谷「今日ご紹介した蔵書家の方は4名です」

 

 

 

総目次
 
まずお読みください

◇主題  反町茂雄によるテーマ
反町茂雄による主題1 反町茂雄による主題2 反町茂雄による主題3 反町茂雄による主題4

◇主題補正 鏡像フーガ
鏡像フーガ 蒐集のはじめ 大名たち 江戸の蔵書家 蔵書家たちが交流を始める 明治大正期の蔵書家 外人たち 岩崎2家の問題 財閥が蒐集家を蒐集する 昭和期の蔵書家 公家の蔵書 すべては図書館の中へ 
§川瀬一馬による主題 §国宝古典籍所蔵者変遷リスト §百姓の蔵書
 

◇第一変奏 グロリエ,ド・トゥー,マザラン,コルベール
《欧州大陸の蔵書家たち》
近世欧州の蔵書史のためのトルソhya

◇第二変奏 三代ロクスバラ公、二代スペンサー伯,ヒーバー
《英国の蔵書家たち》

◇第三変奏 ブラウンシュヴァイク, ヴィッテルスバッハ
《ドイツ領邦諸侯の宮廷図書館》

フランス イギリス ドイツ  イタリア
16世紀 16世紀 16世紀 16世紀  16世紀概観
17世紀 17世紀 17世紀 17世紀  17世紀概観
18世紀 18世紀 18世紀 18世紀  18世紀概観
19世紀 19世紀 19世紀 19世紀  19世紀概観
20世紀 20世紀 20世紀 20世紀  20世紀概観
仏概史  英概史  独概史  伊概史

◇第四変奏 瞿紹基、楊以増、丁兄弟、陸心源
《清末の四大蔵書家》
夏・殷・周・春秋・戦国・秦・前漢・新・後漢 三国・晋・五胡十六国・南北朝 隋・唐・五代十国 宋・金・元   中華・中共    

◇第五変奏 モルガン,ハンチントン,フォルジャー
《20世紀アメリカの蔵書家たち》
アメリカ蔵書史のためのトルソ
 
◇第六変奏
《古代の蔵書家たち》
オリエント ギリシア ヘレニズム ローマ

◇第七変奏
《中世の蔵書家たち》
中世初期 カロリングルネサンス 中世盛期 中世末期

◇第八変奏
《イスラムの蔵書家たち》
前史ペルシア バグダッド カイロ コルドバ 十字軍以降
 
◇第九変奏 《現代日本の蔵書家たち》
本棚はいくつありますか プロローグ 一万クラスのひとたち 二万クラスのひとたち 三万クラスのひとたち 四万クラスのひとたち 五万クラスのひとたち 六万クラスのひとたち 七万クラスのひとたち 八万クラスのひとたち 九万クラスのひとたち 十万越えのひとたち 十五万越えのひとたち 二十万越えのひとたち エピローグ TBC

◇第十変奏 《現代欧米の蔵書家たち》
プロローグ 一万クラス 二万クラス 三万・四万・五万クラス 七万クラス 十万・十五万クラス 三十万クラス エピローグ1 

◇第十一変奏
《ロシアの蔵書家たち》
16世紀 17世紀 18世紀①   19世紀① ② ③ 20世紀① ② ③

 

 

Δ幕間狂言 分野別 蔵書家
Δ幕間狂言 蔵書目録(製作中)
 
◇終曲   漫画の蔵書家たち 1 
◇主題回帰 反町茂雄によるテーマ
 

§ アンコール用ピースⅠ 美術コレクターたち [絵画篇 日本]
§ アンコール用ピースⅡ 美術コレクターたち [骨董篇 日本]

§ アンコール用ピースⅢ 美術コレクターたち [絵画篇 欧米]
§ アンコール用ピースⅣ 美術コレクターたち [骨董篇 欧米]
 
§ アンコール用ピースⅤ レコードコレクターたち
§ アンコール用ピースⅥ フィルムコレクターたち
 
Θ カーテンコール 
閲覧者様のご要望を 企画① 企画② 企画③ 企画④


次へ 投稿

前へ 投稿

0 コメント

31 ピンバック

  1. 総目次 2019/5/9更新 – 蔵書家たちの黄昏
  2. [116] Twilight of the Book Collectors – 蔵書家たちの黄昏
  3. [121] 現代欧米の蔵書家たち 70000クラスのひとたち – 蔵書家たちの黄昏
  4. [299] 漫画の蔵書家たち2 – 蔵書家たちの黄昏
  5. [300] 主題回帰 反町茂雄によるテーマ – 蔵書家たちの黄昏
  6. [104] 現代日本の蔵書家たち2 二万クラスのひとたち – 蔵書家たちの黄昏
  7. [3] 反町茂雄によるテーマ その2 – 蔵書家たちの黄昏
  8. [13] 鏡像フーガ8 昭和期の蔵書家 (1970年頃まで) – 蔵書家たちの黄昏
  9. [109] 現代日本の蔵書家7 七万クラスのひとたち – 蔵書家たちの黄昏
  10. [213] イスラムの蔵書家たち 十字軍以降 – 蔵書家たちの黄昏
  11. [211] イスラムの蔵書家たち カイロ – 蔵書家たちの黄昏
  12. [212] イスラムの蔵書家たち コルドバ – 蔵書家たちの黄昏
  13. [209] イスラムの蔵書家たち 前史ペルシア – 蔵書家たちの黄昏
  14. [112] 現代日本の蔵書家10 十万越えのひとたち – 蔵書家たちの黄昏
  15. [115] 現代日本の蔵書家∞ エピローグ – 蔵書家たちの黄昏
  16. [120] 現代欧米の蔵書家たち 30000クラス,40000クラス,50000クラスのひとたち – 蔵書家たちの黄昏
  17. [7] 鏡像フーガ2 蒐集のはじめ – 蔵書家たちの黄昏
  18. [16] 鏡像フーガ付録1 川瀬一馬による主題 – 蔵書家たちの黄昏
  19. [206] 中世の蔵書家たち 9, 10c – 蔵書家たちの黄昏
  20. [11] 鏡像フーガ6 外人たち – 蔵書家たちの黄昏
  21. [12] 鏡像フーガ7 岩崎2家の問題 財閥が蒐集家を蒐集する – 蔵書家たちの黄昏
  22. Bibliophile Interview  Gabriel Naudé 後編 – 蔵書家たちの黄昏
  23. [8] 鏡像フーガ3 大名たち – 蔵書家たちの黄昏
  24. [105] 現代日本の蔵書家3 三万クラスのひとたち – 蔵書家たちの黄昏
  25. [203] 古代の蔵書家 ヘレニズム – 蔵書家たちの黄昏
  26. Grolier, De Thou, Mazarin, Colbert – 蔵書家たちの黄昏
  27. [208]中世の蔵書家たち 13,14c – 蔵書家たちの黄昏
  28. [205] 中世の蔵書家 5, 6, 7, 8c – 蔵書家たちの黄昏
  29. [118] 現代欧米の蔵書家たち 10000クラスのひとたち – 蔵書家たちの黄昏
  30. [119] 現代欧米の蔵書家たち 20000クラスのひとたち – 蔵書家たちの黄昏
  31. [15] 鏡像フーガ10 すべては図書館の中へ – 蔵書家たちの黄昏

返信する

© 2021 蔵書家たちの黄昏

テーマの著者 Anders Norén

Translate »