蔵書家たちの黄昏

反町茂雄の主題による変奏曲

ジャンル別蔵書家17 [建築史 architectural history]

[建築史 architectural history] 

 

≪欧州≫

  ガブリエル・デタイユール Gabriel-Hippolyte Destailleur 1822-1893
 19世紀フランスの著名な建築家。該博な知識による歴史的建築物の修復事業で特によく知られている。
 著書も多く、建築関係の貴重な文献・図面を広く収集していて、この分野の蔵書家としては量・質ともに白眉であろう。「デタイユール蔵書目録」1895 があるが、彼は目録類の出版が多く、この項は後でまた増補する予定。
 彼の父フランソワも官公庁関係の建築家であり、デタイユールの豊かな収集活動は父のライブラリーを継承したところから始められた。

 

 

 

≪アメリカ≫

 

  サミュエル・パトナム・エイブリー Samuel Putnam Avery 1822–1904
 ニューヨークの著名なディーラーで、息子が建築家のヘンリー・オグデン・エイブリーである。
 早世した息子を記念するために、コロンビア大学へ建築・装飾関係の蔵書2000冊を寄贈して図書館を設立した。同図書館は現在世界最大のアーキテクチャーライブラリーになっている。

 

  ローレンス・H・ファウラー Laurence Hall Fowler 1876-1971
 ファウラーはアメリカの建築学者。建築関連の文献の蔵書家としてはアメリカを代表する存在である。
 彼はコロンビア大学に在学中、上記のエイブリーが同校に残したライブラリーに接し、自らも建築関係の稀覯書や貴重な建築図面を集め始めた。その後パリのエコールデボザールへ留学し、この欧州滞在中にコレクションを充実させる。収集活動はその長い生涯を通じて20世紀前半の半世紀に及んだ。
 引退後はすべてのコレクションをジョンズホプキンス大学に寄贈した。1961年に「ファウラー蔵書目録」が上梓されるが、これはミシェル・ヴォケールが建築書のカタログとして「デタイユール蔵書目録」と並んで挙げていたほど充実した内容で、美術史上の古典ともみなされている。、

 

 

≪日本≫

 

□ 東畑謙三 Tohata kenzo 1902-1998 清林文庫
 東畑謙三は戦後の西洋レアブック蒐集者として代表的な一人といってよい。
 氏は戦前からの著名な建築家であり、1932年には東畑謙三建築事務所を設立している。世間的にはル・コルヴィジェの紹介など、モダニズム建築の我が国への導入者というイメージが浸透している。親族には農業経済学の泰斗であった東畑精一や農林次官を務めた東畑四郎など世に知られた人も多かった。
 別項に記したように日本を代表する古地図のコレクターでもあったが、蔵書の中核は、なんといっても自身の専門である建築分野にある。文化全般に渡る蔵書15000冊のうち、建築関係は1500冊である。
 「モダニズムの草分け」という氏のイメージとは裏腹に、コレクションは18世紀と19世紀に重心があり、量質ともに我が国で最高のものと認められている。コレクションの詳細は 竺覚暁氏の解説 を見てください。

 

 

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テーマの著者 Anders Norén

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