蔵書家たちの黄昏

反町茂雄の主題による変奏曲

ジャンル別蔵書家20 [ポルノ Porno]

[ポルノ Porno]

 

 エロ本であれば、「こんな奴ら大したことない。俺の方がもっとすごい」と思ってる方もおそらくいらっしゃるかもしれません。
 このページもいずれ後でもう少し増補する必要はありそうですが、とりあえず19世紀を代表するアシュビー卿と、20世紀を代表するラルフ・ウィッティントンのお二人に、あと有名な方を数名挙げておきましょう。

 

 

  ヘンリー・スペンサー・アシュビー卿 Henry Spencer-Ashbee 1834-1900
 ヴィクトリア朝期の実業家・書誌学者で、ポルノの他にも旅行記やドン・キホーテの初版本なども集めている(というより生前はポルノ収集は秘密だったのでもっぱらこっちの方で有名だった!笑)。
 数万に及ぶ19世紀最大のポルノコレクターであり、その保管のために家族に秘密で家を借りていたエピソードはアメリカ篇のウッティントンの項でもすでに述べた。しかし秘密にしていた割に、この人はポルノ関係での活動もなかなかお盛んなのである。
 まず、彼は自ら筆を執ってポルノ関係の蔵書の目録を執筆している(ピサヌス・フラクシというペンネームで)。そして彼自身がポルノグラフィーの生産者でもあって、全11巻からなる浩瀚な『我が秘密の生涯』を著した。これは1200人の女性との性交渉を綴った本であり、カサノヴァの「回想録」も顔負けである。出版関係でもサドの「ソドム」を公開する、といった大仕事を残しており、これはおそらくポルノ方面で最もよく知られている彼の事績である。
 しかし生前のアシュビー卿は、まず文学関係の著名な蔵書家として方々から名誉を与えられていた人物であり、スペインアカデミーからは外国人会員にも選出されている。とりわけセルバンテス『ドン・キホーテ』の版本の蒐集では384点にも及び、これは個人としては最大のコレクションであった。その他にもモリエールの戯曲やアラン=ルネ・ルサージュの小説などで重要なコレクションを築き、ポルノ関係の話を除けば当時有数の教養人なのである。
 没後1600点が遺言によって大英図書館に寄贈されたが、そこにもエロ関係が多く混ざっていて(笑)、図書館側はかなり戸惑ったものの、何とか引き受けることに決めたという。

 

 

□ ラルフ・ウィッティントン Ralph Whittington 1945-2019 
 The Museum of Sex,NEW YORK CITY
 先日メリーランド州クリントンの自宅で亡くなった。死因は心疾患。享年74歳である。
 このウィッティントンはアメリカ最大の商業ポルノのコレクターとされていた人物だった。コレクションの大半はすでに1999年にニューヨークのThe Museum of Sexへ移されていたが、彼はその後も集め続け、再び自宅を満杯にしていたという。これらの資料は書籍・雑誌のみにとどまらず、フィルム・ヴィデオ・諸種のオブジェなど多岐に及ぶ。
 彼はワシントンの議会図書館に36年間に渡って奉職したキュレーターであり、この収集も趣味が高じた興味本位のものというより、学術的な関心による部分が大きかった。実際、議会図書館で行われていたのと同じやりかたでカタログが作成され、一点ごとにその多様な属性がラベリングされていた。カテゴリーも86に及んだ。
 ウィッティントンは名刺に職業を「エロティックアーキビスト」と記載し、ポルノ収集について話す時も物怖じせず堂々としていて赤面したりしなかった。アメリカでは、通常のポルノコレクターはクローゼットの奥などに秘密のコレクションを作りがちで、死後それを発見した親族が驚愕することが多い。しかし彼やMark Rotenbergの様に規模の大きなコレクターは堂々としてインタビューなども平気で受けている。(これはある程度以上に蔵書が膨らむと、人に隠しようがないという事情にもよるのだろう。ちなみに19世紀最大級のポルノコレクターであったヘンリー・スペンサー・アシュビー Henry Spencer-Ashbee 1834-1900 は家族に隠れて家一軒を借りてそこをコレクションで満たしていた)
 ウィッティントンはむしろ逆に、そうした秘密のコレクションを当人の死後に発見した遺族からの寄贈を多く受け入れていた。半年に一度はそういう電話がかかって来た事をインタビューで述べている。
 自らも10万ドル以上を費やした彼のコレクションは老母と二人暮らしの家を隅々まで満たし、運び出した時にはトラック3台に満載の848箱約10000品目に及んだ。
 現代アメリカを代表するポルノの集積所は、ウィッティントンのこの収集を受け入れたNYの性の博物館と、前頁で取り上げたアルフレッド・キンゼーの寄付から始まったインディアナ大学のKinsey Institute for Sex Researchの二つだが、キンゼーとウィッティントンの収集の性質は大きく違っている。
 ウィッティントンが対象にしたのは商業ポルノだった。キンゼーの場合は性に関する文献全般であって、もちろん商業的なアイテムも含むが、1940年代以前にあってはそうしたものは質・量ともに高が知れていた。キンゼーが人間の性を解明するために文献を収集したのとは異なり、ウィッティントンの興味はむしろ大衆の欲望文化に向いていた。

 ここまでは、すでにアメリカ篇に書いた。ここはポルノコレクター専用ページなので、少し記述を付け加えてみる。
 ウィッティントン本人はポルノを集める上でコレクションの多様性を重視していて、自らの収集内容の長所もそこにみていたという。(但し、ウィッティントンは児童ポルノとゲイポルノは収集対象にしていない)
 それより興味深いのはコレクションのカテゴリ分けの仕方である。ワシントン議会図書館のキュレーターだった彼はおそらくパットナムの「議会図書館分類」(Library of Congress Classification)に基づいた蔵書分類を行っていたのだろうが、そこでは「フェチ」という区分けの中に、「アジア人」と「スカトロ」が一緒に入れらていた。ポルノコレクターのもう一方の雄 Mark Rotenbergも、収集した写真バインダーでは、「アジア人」や「黒人」を「50代のチーズケーキブロンド」「ボンデージ」「年配の女性」「巨乳」と並べてカテゴライズしていて、ほぼ「変態扱い」である。そういえば、ローバート・デニーロがプライベートでフォーカスされた時、決まって隣にいる女性が黒人なのは有名な話だった。こういうのもおそらくアメリカ社会では「変態」と認識されていたに違いない。
 母親はウィッティントンの収集に理解があり、息子が自邸でインタビューを受けて自分のコレクションについて熱心に話す傍らで、満足そうにソファでかぎ針編みをしていたという。インタビュアーには「あの子はこれが好きなんです」と語り、自分の息子が同年代の男性の様にバーなどには行かず、ずっと家にいる事に安堵していた。「彼は別に誰にも危害を加えておらず、私にも危害を加えません。」
 ちなみにウィッティントンはリズムアンドブルースとドゥーワップの初期のレコードも5000枚以上所有していた。

 

 

  マーク・ローテンバーグ Mark Rotenberg vintagenudephotos.com
 ヴィンテージものの収集で知られる。ことに自らのコレクションの中から19世紀後半から20世紀初頭にかけて撮影された古写真を公開した「The Rotenberg Collection: Forbidden Erotica」(妻との共著)は評価が高い。ただ上記のサイトでヴィンテージポルノを販売して生計を立てているので、半分業者なのかもしれない。
 ローテンベルクがこの道に入ったきっかけは、70年代後半にNYブルックリンのアパートで蔵書家だった隣人が亡くなり、貴重な書籍が運び出された後、残されたポルノ本を得た事だという。

 

 

 日本ではエロ本関係のヴィンテージ市場はさほど成熟していません。しかしアメリカではマリリン・モンロー表紙のプレイボーイ創刊号は70万円もするし、この面でもずっと先を行っています。
 同様のことは保存に関しても言えるのかもしれません。昔薄暗い街角で「旦那、いい写真ありますよ」と結構な値段で売りつけられた写真は、それをまとめて復刻するような企画ってあんまり聞かないですね。温泉地の旅館などでよく非合法に上映されていたブルーフィルムのうち、名作の誉れ高かった作品群も現在ではほとんど現物を観る事ができません。一体どんな映画だったかは当時観た人の証言を通じてしかわからないわけです。
 
 一口にポルノとかエロ本とか言っても、形態は様々です。
 現在ではこの分野は雑誌の比率が圧倒的に多いのですが、19世紀のアシュビー卿の蒐集であれば、挿絵付きの卑猥な文学が中心でした。(寄贈を受けた大英図書館は何とかその書誌を作りましたが、挿絵は全部省いちゃったそうです)
 日本だったら漫画の市場も大きいですし、官能小説愛好家の意外な「層の厚さ」はちょっと簡単には語れないほどです。むしろ城市郎氏のように「発禁本」という風にテーマを定めて集めた人の存在の方が際立ってくるのは当然でしょう。
 以下、日本人で比較的知られたコレクターを挙げておきますが、ここの箇所はまだ情報はスカスカです(狩野享吉のような春画蒐集家は美術コレクターに入るので省きました)。

 

 

□ 松沢呉一 Matsuzawa Kureichi 1958-
 日本の著名なライター。サブカル系のムックでもエロ系の話題が多かった。万単位の所有だといわれ、著書に「エロスの原風景 江戸時代~昭和50年代後半のエロ出版史」がある。
 ご本人の言によると「性というジャンルに関しては、国会図書館の蔵書は全然たいしたことがない。これに限れば、国会図書館を簡単に抜けることがわかりました」「国会図書館を敵と見なして、それから数年で簡単に勝利しました。以来、国会図書館を抜いた男と言われている。ただし、エロだけ(笑 」

 

 

  tee氏
 著書に「tee氏の昭和エロ本伝説」。ブログ http://teesmania.blog.fc2.com/
 上記の本に記載されたプロフィールによれば愛知出身で愛知在住。昭和世俗本展覧会などのコレクションの展示活動を行っている。単なるエロというより昭和風俗文化への造詣が深い。

 

 

  谷村新司 Tanimura Shinji 1948-
 ビニール本5000冊を所有していたといわれるビニ本マニア。普通ならこれ以上説明しないのだが、海外の人も見てるかもしれないので念のため付け加えると、日本人であれば誰でも知っている有名な歌手である。
 もともと無名時代からそういう店でアルバイトをしていて、有名人になった後も続いていたらしい。谷村のコンサートの観客が終了後に彼が働くエロ本屋に立ち寄って、さっき舞台で観た歌手が店員として働いてる事に驚いたというエピソードは本人がテレビで語っていた。

 

 

 

 澁澤龍彦が「西欧文芸批評集成」(エロティック図書館めぐり)で、世界でこの種の文献を多く所蔵している図書館として、パリ国立図書館の「危険書庫」、大英図書館の「秘密室」、バチカン図書館の「地獄室」、インディアナ大学キンゼー研究所の四つを挙げていました。これに、彼の生前には存在しなかったニューヨークのThe Museum of Sex(上記ラルフ・ウィッティントンのコレクションをもとにした)を加えて、エロ蒐集の世界五大殿堂としてよいかもしれません。
 大英図書館「秘密室」の20000冊(当時)は、上記のアシュビー卿の蒐集をもとに築き上げられ、インディアナ大学キンゼイ研究所の15000冊(当時)は、下記のキンゼーによる寄贈から発展してきたのでここで省くことにし、より長い伝統を持つパリ国立図書館の「危険書庫」とバチカン図書館「地獄室」について触れておきましょう。5つのうち、この2つの蒐集は特定の大コレクターの蒐集から発展したものではないからです。

 パリ国立図書館の「危険書庫」(或いは「地獄部屋」)の所蔵数は2600冊。量的には少ないものの、近世初頭以来の仏王室蔵書を引き継いでいるだけに選り抜きの珍籍奇書ばかりだとされています。アポリネールもこの地獄部屋を天国だと称していました。バスカル・ビアによる「地獄図書目録」(1750点を記載)が存在します。
 この部屋の由来は、19世紀初めにナポレオンがバチカン図書館の地獄室をモデルに設立した事に遡ると言われ、名前もそこから引き継いでいます。

  バチカン図書館の「地獄室」の所蔵数は25000冊、版画100000枚。それも歴史のある図書館だけに質的にも珍奇な書物に溢れており、世界最高のエロ蒐集だとされます。何故カトリックの総本山の書庫にこれほど質・量共に淫猥な書物が所蔵されているのかと言うと、ここが1557年以来「禁書目録」を作成してきたからだと思われます。400年近い歴史を持つこの目録は異端や魔術書など共に性的に淫猥な書物をも対象としていて、ここで審査され、禁書に指定されると、その書物の流通量が極端に少なくなるため、勢いこの書庫に残ったポルノ文献は稀覯書になってしまうというわけです。

 やはりこの種のものは、図書館に長い歴史があればあるほどより「深い」収集がみられるようです。
 そこへ行くと、ワシントン議会図書館は世界最大の図書館であるにもかかわらず5000冊という話ですし、日本の国会図書館は(松沢氏の言葉を信じるなら)一個人に数年で抜かれてしまうような有様です。この二つの場合、歴史の浅さを云々する以前に議会図書館という性質もあるのかもしれません。

 以下のポルノグラフィ蒐集は特殊な面があるので別項を立てました。

 

 

 

[発禁本 Banned book]

 発禁本という区分けにしましたが、これは本来マルクス主義文献や伊藤整訳「ユリシーズ」などの文学作品も含み、エロ文献に限られません。ただ、以下に挙げた人は、おおむね艶本などの性的に猥雑であるという理由で禁じられた書物の収集で高名でした。斎藤昌三なんかは発禁本に限られず猥雑な書籍全般の蒐集家でしょう。

 

 

  斎藤昌三 Saito Shozo 1887-1961
 日本で「いやらしい本」を集める人たちの元祖といえば(狩野享吉を別にすれば)この斎藤昌三になるのではなかろうか?
 会社勤務の傍ら書物を収集し、退職後に自ら出版社を起こす。性風俗関係の著述が多く、ことに猥雑本・発禁本ではよく知られている。
 しかし、斎藤の発禁本研究・蒐集では政治・思想系の発禁本と猥褻系のそれとが微妙なバランスをとっており、前者を継承したのが長尾桃郎などであって、後者を継承したのが城市郎だった。晩年の斎藤はエロへの傾斜をみせてゆく城に対して批判的な言葉も残している。

 

□ 城市郎 Jho Ichiro 1922-2016
 名実ともにわが国を代表する発禁本の蒐集者であり、また研究者であった。コレクションは『城市郎の発禁本人生』の刊行時で20000冊超とされていたが、94で亡くなる間際まで現役のコレクターだった彼の場合、最終的な数はもうすこし上になる筈である。(うち7000点は明大に寄付した)
 現在ではレアな猥褻本のオーソリティと思われている城市郎氏も、そもそも発禁本の収集を開始したのは「プロレタリア文学集」と「明治開化期文学集」の二冊からであったという事実は心にとめておいていいかもしれない。艶本に限られない筆禍文献の蒐集者としても重要な存在なのである。
 戦時中に軍役に就いて負傷したあと、戦後になって上記の斎藤昌三の門下に入った。ちなみにこの師からはのちに「エロへの傾斜」を批判されてもいる。
 城氏は、長年運送会社の総務・人事部門で勤務し、サラリーマン生活を送る傍ら、早くからその筋の世界では著名な人物であったようで、著した著述も多い。殊にその編纂にかかる書誌は高く評価されていた。ただ職場に桃源社の編集が原稿を取りに来るのには閉口したそうである。
 晩年は蔵書を東京から大阪近郊の河内長野市に移し、その地を終の棲家とした。

 

  斎藤夜居 Saito Yozue 1924-1988
 古書店経営者。艶本系の収集者であり、エッセイも多い。

 

  鈴木敏文 Suzuki Toshifumi 1933-
 評論家。高橋鐵門下。セブンイレブン創業者とは別人。

 

 

 

[性体験記]

  高橋鐵 Takahashi Tetsu 1907-1971
 性体験記の収集。戦後の小説家であるが性に関する著書の方が評判を呼び、もっぱらそっちの方面で知られている。性風俗に関する蒐集を集めた「高橋鉄コレクション」あり。

 

 

 

[性風俗本 Book about the Prostitution]

 性風俗本とはなんのこっちゃ? と思われるかもしれませんが、ここでは所謂遊郭に関する本の意です。もちろん戦後の風俗に関する書籍を含んでもいいわけです。英文表記は”Book about the Prostitution”と(売春に関する本)とやや直接的にすぎるかもしれません。
 江戸時代の遊女の評判記などは、その関連の著書がいくつかある中野三敏氏あたりがかなり持っていたのでは?と特に根拠もなく推測しています。その現代版である風俗嬢の写真・価格入りの風俗誌や風俗紙は、これこそ国会図書館にない文献を集めようとするコレクター向きアイテムでしょう。ただこれらは最近web上でよく言われる「忘れらる権利」と対立しそうです。
 欧米でも評判記に近いガイドは昔からあり、1535年頃ヴェネツィアで刊行されたカタログ「売春婦の価格表」は対話体で110人の高級娼婦の名前・住所・魅力・問題点・価格を載せていました。1570年版では210人に増え、模倣書のアムステルダム版ものち登場。ロンドンでも「コヴェント・ガーデンの淑女リスト」など同種のものが刊行されています。(1760以降毎年) 当然欧米でもこの種のもののコレクターはいる筈ですが今回はちょっとわかりませんでした。

 

  平井蒼太 Hirai Sota 1900-1971
 江戸川乱歩の弟。平井蒼太はどちらかというと当時の遊郭の体験記で有名であるが、古書店経営者でもあっただけに、この方面の文献収集も多く行っている。彼自身の著述を含めて、共にこの分野では貴重な資料である。

 

 

 

 

[性文献]

 以上の性に関する文献の収集者はどちらかというと芸術・文化・風俗的な興味に基づくタイプでしたが、性そのものを生物学的に解明しようとした学者の行った収集として下記のキンゼーによるものが有名です。彼の場合、商業ポルノも含むとはいえ、集める方向が全く違います。
 またヒルシュフェルトによるベルリン性科学研究所の蔵書も性の研究や旧来的な性意識の打倒を目途とした運動のための収集なので、こっちに置いたほうが良さそうです。集めていたものはウィッティントンとほとんど変わらないとは思いますが。

 

□ アルフレッド・キンゼー Alfred Charles Kinsey 1894–1956
 Kinsey Institute for Sex Research
 性に関する文献の収集。出版物のみではなく写真、アート、フィルムなどから成る総合的な資料群である。これらは彼の勤務先のインディアナ大学が購入したが、キンゼーは売却価格を1ドルにしたので事実上の寄贈だろう。
 このキンゼーは、あのキンゼーレポートの作成者である。元来昆虫学者であった彼が生物学的アプローチで行ったこの報告は、アメリカの性に対する価値観を一変させたと歴史的に評価されている。社会学者からの批判や、リサーチ対象がランダムに選択されていなかったという統計上の難点もあったものの、それまで性に関して宗教的に厳格だったこの大国が一転して現代のポルノ先進国への道を歩むきっかけになったことは間違いない。またバイセクシャルの問題にしても、自身バイセクシャルであったこの人物の作成したレポートの方向性が今現在の世論に反映されている。(この項目はアメリカ篇からの転載)

 

  マグヌス・ヒルシュフェルト Magnus Hirschfeld 1868-1935
 世紀末からナチス前夜にかけてのドイツ人医師。ユダヤ系。今日では性に関する運動家として知られている(邦訳書は多い)。自らの蔵書をもとにベルリンの性科学研究所を設立した。ただしナチスにこの研究所は接収されて書物は焼却された。

 

 

 

 

 

 

 

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テーマの著者 Anders Norén

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