蔵書家たちの黄昏

反町茂雄の主題による変奏曲

[112] 現代日本の蔵書家10 十万越えのひとたち

★関谷「こんにちは 漂流教室関谷です。いよいよ今日は蔵書数十万越えのひとたちです。」

☆梅本「でもはっきり数はわからないんですよね、今日ご紹介する五人のうちの二人は」

★関谷「ということは、おそらく10万ぐらいだって世間で言われてるだけの人?」

☆梅本「ええ。違うっていう情報が出たらまた書き直すだけです。このブログは書き直しやすいですし。
    まず片山杜秀さん (Katayama Morihide 1963-)。どえらい書庫持ってて昔のレコ芸に写真が載ってます。京極夏彦のは書斎ですが、これは書庫ですね・・・・こういうのを書庫っていうんでしょうね。」

★関谷「本職は右翼思想の研究者で慶応の教授なんだけど、むしろクラシック音楽批評の方で知られてる。書くものは、よく言えば情報量が多くて・・・」

☆梅本「悪く言えば、ペダンティック・・・ とくに初期の頃は無理にそう装ってるような」

 


★関谷「では片山氏は切り上げて、松岡正剛 (Matsuoka Seigo 1944-)の方へ・・・」

☆梅本「ええ 松岡さんも総数10万って言われてて、赤坂事務所だけで6万あるそうです。そういえば立花隆さんもネコビル以外に研究室とかあちこちに・・・」

★関谷「『立花隆の書棚』に対抗して『松岡正剛の書棚』って本を出してるよな。でも内容は全然違うな・・・」

☆梅本「かなり違いますよね。松岡本の方は、丸善でやってた本人プロデュースのブックコーナーの回顧談ですから。たくさんの友人知人が文章寄せています」
    
★関谷「松岡正剛さんもこの人は大変博識なんだけど、千夜一夜ですか。もう千冊とっくに超えちゃってるけど。あれ全部読むってすごい馬力だね。」

☆梅本「ただ、その選択があまりにも80年代のニューアカブームを反映していて、なにかと似てるというか・・・」

★関谷「戦後民主主義の全盛期に岩波文庫のおすすめみたいな特集があったよな。推薦人が丸山眞男とか中野良夫とか、今から見るとゲゲッていうようなメンツがゲゲッていうような本を薦めてたやつ。

☆梅本「松岡さんのセレクトはもちろんそれとは比べ物にならないんだけど、やっぱり今の出版界がおすすめしてる流行の・・・」

★関谷「まあ書籍文化を作ろうとしてる感じはするな」

☆梅本「立花さん同様に情報源が多様で、マスメディア志向が立花隆よりも一歩進んでる。既成の蔵書家らしくない点はさらに際立ってます」

 


★関谷「10万冊の蔵書家はあと二人いたろう」

☆梅本「森英俊(Mori Hidetoshi 1958-)さん。翻訳家でミステリー評論家。この人の十万冊はかなり確実だと思います。通称は古本神。レアな探偵モノとか多いって話です」

★関谷「古本神って・・・  水島新司の『銭っ子』にあった銭神とか銭将軍とか、そういうレベルのネーミングだな。。。」

☆梅本「普通の人が読めないようなプレミア価格になってる昔の漫画で例えないでください」

★関谷「うーん、浦和の古書市でワゴン一気買いしたとか伝説の類は多い人なんだけど、最近の翻訳ミステリー自体あんまり読んでないんでコメントのしようがない」

 


☆梅本「四人目の人ですが、川島幸希(Kwashima Koki 1960-)さん。近代文学の研究者で秀明大学学長です。初版本収集では日本最大の人ではないでしょうか」

★関谷「この人は本編に置かなくていいの?」

☆梅本「うーん、初版本も貴重書ではありますが古典籍ではないし。しかしこの方は著名作家の自筆原稿もかなり保有されてるので微妙なところですね」

★関谷「それで10万冊以上って凄いんだが・・・ 自筆原稿でも芥川、太宰、漱石って・・・」

☆梅本「初版本では単にコレクターとして無敵なだけじゃなくて、この分野での伝道師的存在です。運営するツイッターの「 初版道 」はフォロワーは1万5千人いるって。この人の著書で管理人が読んだ事があるのは漱石の原稿についての本だけですが」

★関谷「高校の時分から古書店巡りで、書誌や書影を見るのが好きだったってさ。川瀬一馬もそうだったけど、世の中にはそういう人もいるんだな」

 


☆梅本「では今日取り上げる最後の人ですが、紅野敏郎さん (Kono Toshiro 1922-2010)。前のお三方からさらに増えて13万冊の大量所持です。
    明治以降を対象とする国文系の大型蔵書家の例としては、前に挙げた曽根博義とか、谷沢永一もいますけど・・・」

★関谷「昔の文芸同人雑誌のコレクションとか凄そうだよな。で、書いたものはやっぱり書誌学的な内容が多いの?」

☆梅本「私も本いろいろ読みましたが、知らない人の名前ばかり出てきて・・・ とっくに消えて今では誰も知らない無名作家について、著名作家のように普通に語ってる。この人はペダンティックというのではなくて・・・・・知識が広大すぎてみんなが知らない人を対象に、なにか色々と、真面目に語っている。そういう感じ。加えてご本人の性格があまり面白くない・・・ 谷沢永一だったらまだマナーの悪さがあったりするんだけど」

★関谷「盛り上がらないな」

☆梅本「盛り上がりませんね」

★関谷「紅野さんも紅野さんなんだけど、あまりに知識が膨大な人というのは掴みどころがなくて・・・」

☆梅本「盛り上がりませんね」

 

 

 

 

総目次
 
まずお読みください

◇主題  反町茂雄によるテーマ
反町茂雄による主題1 反町茂雄による主題2 反町茂雄による主題3 反町茂雄による主題4

◇主題補正 鏡像フーガ
鏡像フーガ 蒐集のはじめ 大名たち 江戸の蔵書家 蔵書家たちが交流を始める 明治大正期の蔵書家 外人たち 岩崎2家の問題 財閥が蒐集家を蒐集する 昭和期の蔵書家 公家の蔵書 すべては図書館の中へ 
§川瀬一馬による主題 §国宝古典籍所蔵者変遷リスト §百姓の蔵書
 

◇第一変奏 グロリエ,ド・トゥー,マザラン,コルベール
《欧州大陸の蔵書家たち》
近世欧州の蔵書史のためのトルソhya

◇第二変奏 三代ロクスバラ公、二代スペンサー伯,ヒーバー
《英国の蔵書家たち》

◇第三変奏 ブラウンシュヴァイク, ヴィッテルスバッハ
《ドイツ領邦諸侯の宮廷図書館》

フランス イギリス ドイツ  イタリア
16世紀 16世紀 16世紀 16世紀  16世紀概観
17世紀 17世紀 17世紀 17世紀  17世紀概観
18世紀 18世紀 18世紀 18世紀  18世紀概観
19世紀 19世紀 19世紀 19世紀  19世紀概観
20世紀 20世紀 20世紀 20世紀  20世紀概観
仏概史  英概史  独概史  伊概史

◇第四変奏 瞿紹基、楊以増、丁兄弟、陸心源
《清末の四大蔵書家》
夏・殷・周・春秋・戦国・秦・前漢・新・後漢 三国・晋・五胡十六国・南北朝 隋・唐・五代十国 宋・金・元   中華・中共    

◇第五変奏 モルガン,ハンチントン,フォルジャー
《20世紀アメリカの蔵書家たち》
アメリカ蔵書史のためのトルソ
 
◇第六変奏
《古代の蔵書家たち》
オリエント ギリシア ヘレニズム ローマ

◇第七変奏
《中世の蔵書家たち》
中世初期 カロリングルネサンス 中世盛期 中世末期

◇第八変奏
《イスラムの蔵書家たち》
前史ペルシア バグダッド カイロ コルドバ 十字軍以降
 
◇第九変奏 《現代日本の蔵書家たち》
本棚はいくつありますか プロローグ 一万クラスのひとたち 二万クラスのひとたち 三万クラスのひとたち 四万クラスのひとたち 五万クラスのひとたち 六万クラスのひとたち 七万クラスのひとたち 八万クラスのひとたち 九万クラスのひとたち 十万越えのひとたち 十五万越えのひとたち 二十万越えのひとたち エピローグ TBC

◇第十変奏 《現代欧米の蔵書家たち》
プロローグ 一万クラス 二万クラス 三万・四万・五万クラス 七万クラス 十万・十五万クラス 三十万クラス エピローグ1 

◇第十一変奏
《ロシアの蔵書家たち》
16世紀 17世紀 18世紀①   19世紀① ② ③ 20世紀① ② ③

 

 

Δ幕間狂言 分野別 蔵書家
Δ幕間狂言 蔵書目録(製作中)
 
◇終曲   漫画の蔵書家たち 1 
◇主題回帰 反町茂雄によるテーマ
 

§ アンコール用ピースⅠ 美術コレクターたち [絵画篇 日本]
§ アンコール用ピースⅡ 美術コレクターたち [骨董篇 日本]

§ アンコール用ピースⅢ 美術コレクターたち [絵画篇 欧米]
§ アンコール用ピースⅣ 美術コレクターたち [骨董篇 欧米]
 
§ アンコール用ピースⅤ レコードコレクターたち
§ アンコール用ピースⅥ フィルムコレクターたち
 
Θ カーテンコール 
閲覧者様のご要望を 企画① 企画② 企画③ 企画④


次へ 投稿

前へ 投稿

0 コメント

22 ピンバック

  1. 総目次 2019/5/9更新 – 蔵書家たちの黄昏
  2. [116] Twilight of the Book Collectors – 蔵書家たちの黄昏
  3. 総目次  11/25更新 – 蔵書家たちの黄昏
  4. [122] 現代欧米の蔵書家たち 100000越え.150000越えのひとたち – 蔵書家たちの黄昏
  5. [10] 鏡像フーガ5 明治大正期の蔵書家 – 蔵書家たちの黄昏
  6. [213] イスラムの蔵書家たち 十字軍以降 – 蔵書家たちの黄昏
  7. [114] 現代日本の蔵書家12 二十万越えのひとたち – 蔵書家たちの黄昏
  8. [8] 鏡像フーガ3 大名たち – 蔵書家たちの黄昏
  9. [102] 現代日本の蔵書家たち0 プロローグ – 蔵書家たちの黄昏
  10. [201] 古代の蔵書家 オリエント – 蔵書家たちの黄昏
  11. [204] 古代の蔵書家 ローマ – 蔵書家たちの黄昏
  12. [209] イスラムの蔵書家たち 前史ペルシア – 蔵書家たちの黄昏
  13. Grolier, De Thou, Mazarin, Colbert – 蔵書家たちの黄昏
  14. [206] 中世の蔵書家たち 9, 10c – 蔵書家たちの黄昏
  15. [208]中世の蔵書家たち 13,14c – 蔵書家たちの黄昏
  16. [205] 中世の蔵書家 5, 6, 7, 8c – 蔵書家たちの黄昏
  17. [104] 現代日本の蔵書家たち2 二万クラスのひとたち – 蔵書家たちの黄昏
  18. [120] 現代欧米の蔵書家たち 30000クラス,40000クラス,50000クラスのひとたち – 蔵書家たちの黄昏
  19. [105] 現代日本の蔵書家3 三万クラスのひとたち – 蔵書家たちの黄昏
  20. [300] 主題回帰 反町茂雄によるテーマ – 蔵書家たちの黄昏
  21. [13] 鏡像フーガ8 昭和期の蔵書家 (1970年頃まで) – 蔵書家たちの黄昏
  22. 総目次 4/15更新 – 蔵書家たちの黄昏

返信する

© 2021 蔵書家たちの黄昏

テーマの著者 Anders Norén

Translate »