蔵書家たちの黄昏

反町茂雄の主題による変奏曲

[120] 現代欧米の蔵書家たち 30000クラス,40000クラス,50000クラスのひとたち

[] 現代欧米の蔵書家たち 30000クラスのひとたち


☆梅本「さて30000クラスです。日本篇ではかなりの数を紹介できたんですが、管理人の知識が日本に偏ってるために二人しか紹介できません。まずドリス・レッシング(Doris Lessing 1919-2013)さんです。」
★関谷「なんだ、わりと最近のノーベル賞作家じゃないか」
☆梅本「近年のノーベル賞作家には政治運動の経歴がある人がやたら多いんだけど、この人もそうですね。ジンバブエ政府を批判して追放されたり」
★関谷「ノーベル文学賞がだんだん政治的になってきて、平和賞との境界が曖昧になってる」
☆梅本「だから、エリ・ヴィーゼルなんかは作家だけど平和賞のほうを受賞してるんです」

★関谷「逆にチャーチルは、平和賞じゃなくて文学賞を受賞してるんだよな。」
☆梅本「『第二次世界大戦回顧録』が評価されたんです。縮訳版ならここの管理人も持ってます」
★関谷「でもあの本は資料集めをした人間の筆がかなり入ってた事がチャーチルの死後になってから分かって問題になった」

☆梅本「で、次もノーベル賞作家です。ペルーのマリオ・バルガス=ジョサ(Mario Vargas Llosa 1936-)が76歳の誕生日に故郷のアレキーパ市に蔵書3万冊を寄贈しました。勿論他にもあるんだろうけど『これらの本は長らく、私の人生の一部だった。』って言ってるからかなりの部分を占めてるのは間違いないと思います。」
★関谷「こっちはノーベル賞作家でもかなりの大物じゃないか」
☆梅本「そうですね。今の世界では最後の大作家というか・・・
    ノーベル文学賞って最近は「誰?」って感じの人が多いでしょう? 20世紀の中頃なら、ジイド、マン、フォークナー、エリオットといった名実ともに現代文学の巨星といえる人たちが受賞してたのに・・・
★関谷「80年代以降は二手に別れるよね、ギュンター・グラスとか、ガルシア・マルケスとか、ハロルド・ピンターみたいな何十年も世界中に名前が浸透してきた大物と、『アンタ一体誰?』って言いたくなるような人と。 エジプトのマフフーズとか、ナイジェリアのショインカとか昔いたじゃないか」
☆梅本「マフフーズは中東世界では名実ともに代表的な作家だから私達が知らなくても別にいいんです。ただ、ショインカの場合は、あれはイギリスの大学に留学して、そこで指導を受けて劇を書いてた人で、ナイジェリア人はほとんど知りません。イギリス人もほとんど知らない。ただ、アフロ・アフリカから誰か受賞者を出さなければ、という政治的な目的意識から受賞が決定した人で、今となってはノーベル賞の黒歴史です。」
★関谷「そこへいくとバルガス・リョサは重い感銘を残す大作を何十年も書き続けてる大物中の大物というか・・・」
☆梅本「20世紀後半は、ボルヘス、パス、マルケスといった前衛的な実験性と土俗的な政治性を兼ね備えたラテンアメリカ文学が世界を席巻したんですけど、その最後の大物になるんでしょうね」

★関谷「次もノーベル賞作家か?」
☆梅本「今度はゴルフの人です。」
★関谷「ゴルフの人?」
☆梅本「ゴルフ文献の蒐集家ですよ。このサイトは『本を持ってる』って事だけでセレクトしてるので、誰でも知ってるような著名人と、こういう普通の人は知らないような人物が交互に登場するのがいいんですよ。
    アラステア・ジョンストン(Alastair Johnston)さんという人で、ゴルフ関連図書の収集ではそこそこ知られた存在らしいんです。『30000冊近くの蔵書が寄贈』って表現が気になるけど、ゴルフ本だけしか持ってないわけでもないだろうからこのページに置いていいでしょう。
    ジョンストンさんはスポーツマネジメント会社の副会長らしいです。寄贈先は全英オープン選手権を主催してるThe R&Aです。」
★関谷「ゴルフ文献だけで3万冊もあるの?」
☆梅本「あるらしいんですよね。それが。ゴルフ界を代表する作家・選手・歴史家・建築家・伝記作家による作品が多数含まれてるって。The R&Aはこれで博物館作るらしいです。」

 

[] 現代欧米の蔵書家たち 40000クラスのひとたち


★関谷「じゃあ40000冊クラスに移ろうか」
☆梅本「アルベルト・マングェル(Alberto Manguel 1948-)が世界的に有名ですね。このクラスの蔵書家では。」
★関谷「アルゼンチンの作家・著述家で日本でも翻訳は出てるよな。」
☆梅本「ボルヘスの高弟で盲目の彼のために朗読した経験もあるそうです。ボルヘスと同じようにブエノスアイレス国立図書館の館長もやってました」
★関谷「まあ本たくさん持ってる事で有名で、本に関する本も色々出してて、それを解説するためにメディアに登場する人。」
☆梅本「一言でいうと日本における立花隆とか松岡正剛みたいな位置づけにある人なのかな?」
★関谷「そういう存在って各国にいるよな。アメリカでも昔エドワード・ニュートン(Edward Newton 1864-1940)っていたろ?」

 

[] 現代欧米の蔵書家たち 50000クラスのひとたち


☆梅本「こないだ死んだウンベルト・エーコ[(Umberto Eco 1932-2016)も、最近は完全にそういう存在になってましたね」
★関谷「メディアにとってこういう役割の人って必要なのかな? エーコは50000ぐらいなの?」
☆梅本「ええ、ミラノに30000冊+リミニに20000冊。」
★関谷「昔は記号論の模範的概説書の著者というイメージだったのに・・・」
☆梅本「学問的到達点は『記号論と言語哲学』でしたよね。たしか」
★関谷「それが『薔薇の名前』以降はむしろ小説家として知られるようになって、最近書くものは本に関する内容とか総体的な知に関したテーマとか、方向性が立花隆や松岡正剛とあんまり変わんなくなってきてたな。別に批判するつもりもないが」
☆梅本「管理人がまた登場しそうな雲行きですね」

 

 

総目次
 
まずお読みください

◇主題  反町茂雄によるテーマ
反町茂雄による主題1 反町茂雄による主題2 反町茂雄による主題3 反町茂雄による主題4

◇主題補正 鏡像フーガ
鏡像フーガ 蒐集のはじめ 大名たち 江戸の蔵書家 蔵書家たちが交流を始める 明治大正期の蔵書家 外人たち 岩崎2家の問題 財閥が蒐集家を蒐集する 昭和期の蔵書家 公家の蔵書 すべては図書館の中へ 
§川瀬一馬による主題 §国宝古典籍所蔵者変遷リスト §百姓の蔵書
 

◇第一変奏 グロリエ,ド・トゥー,マザラン,コルベール
《欧州大陸の蔵書家たち》
近世欧州の蔵書史のためのトルソhya

◇第二変奏 三代ロクスバラ公、二代スペンサー伯,ヒーバー
《英国の蔵書家たち》

◇第三変奏 ブラウンシュヴァイク, ヴィッテルスバッハ
《ドイツ領邦諸侯の宮廷図書館》

フランス イギリス ドイツ  イタリア
16世紀 16世紀 16世紀 16世紀  16世紀概観
17世紀 17世紀 17世紀 17世紀  17世紀概観
18世紀 18世紀 18世紀 18世紀  18世紀概観
19世紀 19世紀 19世紀 19世紀  19世紀概観
20世紀 20世紀 20世紀 20世紀  20世紀概観
仏概史  英概史  独概史  伊概史

◇第四変奏 瞿紹基、楊以増、丁兄弟、陸心源
《清末の四大蔵書家》
夏・殷・周・春秋・戦国・秦・前漢・新・後漢 三国・晋・五胡十六国・南北朝 隋・唐・五代十国 宋・金・元   中華・中共    

◇第五変奏 モルガン,ハンチントン,フォルジャー
《20世紀アメリカの蔵書家たち》
アメリカ蔵書史のためのトルソ
 
◇第六変奏
《古代の蔵書家たち》
オリエント ギリシア ヘレニズム ローマ

◇第七変奏
《中世の蔵書家たち》
中世初期 カロリングルネサンス 中世盛期 中世末期

◇第八変奏
《イスラムの蔵書家たち》
前史ペルシア バグダッド カイロ コルドバ 十字軍以降
 
◇第九変奏 《現代日本の蔵書家たち》
本棚はいくつありますか プロローグ 一万クラスのひとたち 二万クラスのひとたち 三万クラスのひとたち 四万クラスのひとたち 五万クラスのひとたち 六万クラスのひとたち 七万クラスのひとたち 八万クラスのひとたち 九万クラスのひとたち 十万越えのひとたち 十五万越えのひとたち 二十万越えのひとたち エピローグ TBC

◇第十変奏 《現代欧米の蔵書家たち》
プロローグ 一万クラス 二万クラス 三万・四万・五万クラス 七万クラス 十万・十五万クラス 三十万クラス エピローグ1 

◇第十一変奏
《ロシアの蔵書家たち》
16世紀 17世紀 18世紀①   19世紀① ② ③ 20世紀① ② ③

 

 

Δ幕間狂言 分野別 蔵書家
Δ幕間狂言 蔵書目録(製作中)
 
◇終曲   漫画の蔵書家たち 1 
◇主題回帰 反町茂雄によるテーマ
 

§ アンコール用ピースⅠ 美術コレクターたち [絵画篇 日本]
§ アンコール用ピースⅡ 美術コレクターたち [骨董篇 日本]

§ アンコール用ピースⅢ 美術コレクターたち [絵画篇 欧米]
§ アンコール用ピースⅣ 美術コレクターたち [骨董篇 欧米]
 
§ アンコール用ピースⅤ レコードコレクターたち
§ アンコール用ピースⅥ フィルムコレクターたち
 
Θ カーテンコール 
閲覧者様のご要望を 企画① 企画② 企画③ 企画④


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テーマの著者 Anders Norén

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