蔵書家たちの黄昏

反町茂雄の主題による変奏曲

[216] ロシアの蔵書家たち 17世紀

〔17世紀〕
17~18世紀では記録に残る蔵書は皇族・貴族・政府高官・高位聖職者などが主である。

 


 ◇ C.・ポーロッキイ
 ◇ シリヴェストル・メドヴェージェフ
17世紀ロシアにおける最大の書籍蒐集は、C・ポーロッキイのもので、それをモスクワ印刷所の校正職だったシリヴェストル・メドヴェージェフが引き継いだ。
目録が作成された1689年で651冊ほどが記録に残る。下に冊数が判明しているこの時期の蔵書家の一覧を記したが、11位以下はすべて数十冊といったところ。17世紀のロシアの個人蔵書は冊数の点からいうと、西欧であればおよそ中世末期ぐらいの規模である。
ポーロッキイとメドヴェージェフの二人はこの時期における最高の知識人で、彼らの蔵書の内容は大半が宗教関係だが、世俗的分野では歴史、哲学、言語、地理、医学、生物、法律、文学と幅広い。

 

 ◇ ユーライ・クリジャニッチ
 Юрий Крижанич Juraj Križanić 1618–1683
シャムーリンはこの世紀からはメドヴェージェフ、ゴリツィン公、ユーライ・クリジャニッチの三人の名前を挙げている(ゴリツィン公は年齢の点で次項に項目を作っている)。
クリジャニッチは最初の汎スラブ主義者とされる司祭だが、にもかかわらずクロアチア出身で学業はボローニャ大学で修めている。彼の提言の多くはのちピョートル一世によって実現された。明確な所蔵数などは記録がない。

 

 

 


十七世紀ロシアで冊数が判明している個人蔵書を100冊以上のものに限り書き出してみると下記の通り。
1 C.メドヴェージェフ & C.ポーロツキイ(1689年) 651冊
2 アファナーシイ・ホルモゴルスキイ(1702年) 490冊
3 皇帝フョードル・アレクセーエヴィチ(1683年) 280冊
4 総主教フィラレート(1630年) 261冊
5 皇太子アレクセイ・アレクセーエヴィチ 215冊
6 総主教ニコン(1658年) 156冊
7 府主教サルスキイ & パーヴェル(1675年) 149冊
8 ストローガノブ(1627年) 246冊
9 校正職エフフイーミイ(1705年) 112冊
10 大主教クレムレフ(1651年) 101冊

 

 前項で触れたストロガノフ家の所蔵数がここでは具体的に246冊と出ているのが興味深い。

 最後に17世紀の機関蔵書にも触れておく。
 まず、モスクワ総主教座の図書館の蔵書は1658年に1300冊とニコン総主教が数えている。
 次に前々項でキリルのベレゾフスキー修道院が15世紀末の時点で212冊あったと述べたが、この修道院は1601年に1065冊、1621年に1220冊、1635年に1328冊、1664年に1916冊と相当な数に増えており、総主教座をも上回る規模である。
 またトロイッツァ・セルギエフ修道院の蔵書は1642年に623冊あった。

以上の記述はシャムーリンによる。

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テーマの著者 Anders Norén

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